過去には暗殺事件も確認され1909年には伊藤博文、1921年には首相だった原敬が倒れた。1945年には第2次大戦終了前に東京大空襲のほか広島、長崎での原爆投下など悲劇に見舞われた。
政治の潮目が変わる時でもあり 、1981年にはレーガン政権が発足。1993年にはビル・クリントン政権、日本では細川連立内閣が誕生したことが思い出される。
翻って2017年は、遂にトランプ政権が船出を迎える。つぶやきで自身の言葉を伝えるため、コマンダー・オブ・チーフの称号に加え、ツイッター・オブ・チーフの肩書きが与えられること必至なトランプ次期大統領が率いる米国につき、国際機関は異なる経済見通しを展開する。
世界銀行は今月10日に半期に一度公表する経済見通しで 2017年の世界成長率を2.7%増とし、前回2016年6月時点の2.8%増から引き下げた。2018年も従来の3.0%増から2.9%増へ下方修正。世界貿易が停滞を続ける中で投資が落ち込むと予想するほか、オランダをはじめフランス、ドイツと選挙も重なり、政治の不透明性が成長を抑制するという。
何より注目は、トランプ新政権を控えながら米国の成長予想を上方修正しなかった点に尽きる。2017年は2.2%増、2018年は2.1%増とそれぞれ据え置いた。
トランプ勝利後に発表された成長見通しとしては、OECD(経済協力開発機構)が2016年11月に公表した内容と対照的だ。トランプ勝利を受けてOECDは2017年の世界成長率予想を2.9%増から3.3%増へ引き上げ、2018年は3.6%増と一段の加速を見込む。
OECDは米国の成長率も、2017年につき従来から0.2%引き上げて2.3%増へ上方修正した。2018年は3.0%増を予想、仮に後者が実現すれば2005年以来の高成長となる。トランプ政権のインフラ投資拡大、法人税ならびに所得税減税を含む税制改革、規制緩和を支えに“長期停滞”から脱却するバラ色のシナリオと言えよう。
興味深いことに、OECDの本部はフランスのパリで、世銀は米国の首都ワシントンD.C.である。世銀の予想は、トランプノミクス実現を信じていないワシントンD.C.の見方を反映しているかのようだ。
世銀は、少なくとも公約通り減税が実施されれば米国の成長率は2017年に最大2.5%増、2018年も最大2.9%増へ拡大すると予想する。ただ、問題点として保護主義寄りな貿易政策を掲げ、「害を及ぼす」と警告することも忘れない。国境税を巡る税制改正案も不透明なだけに、世銀は過度な楽観を避けたのだろう。
[本紙1月16日付1面]
